2016年9月 の 現地報告! です。

3ヵ月ぶりのご報告。

(※いつも「現地報告」してくれているなるみさんの帰国休暇により、現地報告をお休みしていました)

みんなが変わらず元気にしている様子をおしらせします。新しいメンバーもご紹介。

たった3ヵ月でもみんな変化し続けている。

私も日本でのおいしいごはん、毎日たっぷり湯の入浴生活から気持ちを切り替えて改めて始めなければ、と気が引き締まる。

最初の1週間は何故か水が合わず、月たった今は日本での生活がもうすっかり過去のことになっています。

居場所が変わるって面白いですね。はじめの違和感はすっかり消えて、ここがもう居場所になる。

ということで、私も元気に報告してまいります!


写真左、中:自分で起き上がれるように。写真のスタッフは実習生。彼らにもボリビアの現実を見てもらう。

写真右: 8月の彼女の誕生日にはCAPEDISに連れてきてみんなでお祝いしました。

 

【エレナの訪問リハビリ】

3月から始まったエレナの自宅への訪問リハビリ。理学療法士と看護士、看護士助手、教師が2人組みを組んで交代で訪問することを続けています。はじめはエレナを中心に入浴、リハビリ、屋内の清掃などしていたが、エレナと母親、エレナと娘、そして家族を支える方向へと支援の在り方が変化している。週1回の訪問では大きな前進はない。だけど、希望は与え続けていることがわかる。以前に比べて随分と話すようになり、母親の表情も柔らかくなったからだ。どこまで、どんな形で継続していくのかが今後のテーマである。そういえば、8月は彼女の誕生日で職員の提案で自宅からCAPEDISにつれて来てみんなでお誕生祝いをしました。久しぶりの再会に満足したみたいです。


写真左:ひさしぶり~~!

写真右:この日で最後の実習生。いい理学療法士になってください!

 

【ボリビアに到着】

9月8日朝9時ごろにボリビアに到着。空港へは子供たちが迎えに来てくれました。

久しぶりの再会自体うれしかったのですが、

特にCIELOが外に出たことも、久しぶりに会うことも大喜びしている様子で「お…覚えていたか」とうれしく思いました。

CAPEDISについて玄関までみんながお出迎え。

何だか大げさな感じがして恥ずかしかったし、驚いたけれど、

こんな風にこどもたちも職員のみんなも温かく迎えてくれて、

普段はあまり意識しないけれどいいチーム、仲間、家族だなぁと思いました。

そして到着後すぐに私の歓迎会兼リハビリの実習生の送別会がはじまりました。

昨年はJICAの方が週1回ボランティアで通ってくれていましたが、今年は6月よりこちらの大学から実習生が来ています。

CAPEDISの理学療法士が話を持ってきてくれたのです。

1人よりもたとえ実習生でも2人で関わる方が幅が広がるし、技術アップも狙えます。

2週間で新しい実習生に交代するのですが、外からの風が入ることを楽しみながらリハビリに励んでほしい。


新メンバー紹介】(男性:フアン・カルロス40歳 女性:マリソル 49歳)

フアン・カルロス

6月にCAPEDISにやってきました。事故の治療のためです。彼はCAPEDISでは馴染みの人でみんなの知り合いです。

その事故というのが、ボリビアの障がい者運動中に起きたものなのです。

以前も報告させていただきましたが、今年1月から生活保障を巡って今政府への訴えを続けていて、

3月・4月は最も激化しているときでした。

官庁のあるラパスだけではなく、私たちの住むコチャバンバ県でもデモ行進や座り込み、主要道路、

人が集まる公園や交通量の多い場所での訴えのパフォーマンスを続けていました。

私たちもデモ行進には参加したのですが、このフアン・カルロスは主要道路での座り込みもしていて、

その期間中は座り込みの場所で寝泊りになります。そこに車が突っ込んで来ました。午前2時頃のことです。

運転手はドラッグと酒で泥酔した女性でした。

彼女は障がい者運動に不快発言をした議員の娘で、

事故を起こす前に飲んでいたお店では大声で障害者を蔑視・罵倒することばを吐いていたとのことで、

ドラッグと酒により理性が飛んで意図的に事故を起こしたのではないかとの噂もあります。

この事故で2人が死亡し、2人が重傷でした。その2人の重傷患者がCAPEDISに入所したのです。

一人は入所後1週間で家族のもとで治療することになり、去っていきました。そして彼が残りました。

入所した当初顔は腫れあがり、体の片側を曳かれて手と足を骨折。

もともと下肢障害があっていつも杖を使っての歩行だったのですが、

その動けない、逃げることができないからこその4人が巻き込まれる事故となったのです。

あれから3ヵ月以上が経って、ずいぶんと回復して今は働いています。

彼はカメラマンで今までもそれで生計をたてていました。

こどもも3人いて、守るべき家族がいるから素早い回復だったのだと思います。

この1ヵ月傍で彼の動きをみていて、

ここで生活するみんなにとって特に青年ロナルにとっていい見本になっているなぁと思っています。

愛情深く、みんな一人一人に毎日、毎回、はっきりとした大きな声であいさつをして、

会話をもりあげ、身なりはきれいに保ち、自分のことは自分でして、毎日働きにでかけ…

ここで生活しているビルマやマルガリータはほとんど彼が起きているときには仕事に行っていないので、

生活が見えないのですが、彼の場合は重傷から立ち上がって働くところまでロナルの目の前で変化していったのです。

朝食をともにし休日もいる。自分の時間で仕事にでかけ、時には遅くに帰ってくる。

それで生計を立てる。困難さは抱えていても明るい。私もすごいな、と思いますし、励まされています。

 

マリソル

彼女は8月末に入所。49歳。市のソーシャルワーカーより話が来て、受け入れを決定しました。

彼女は部屋を借りて一人暮らしをしていたのですが、

家賃は滞納し部屋は足の踏み場もなくゴミ箱のような状態で家主が市に連絡したのでしょう。

彼女をCAPEDISに連れてきて次第にわかっていったことはまずてんかん発作もち。

母親がいるがマリソルの叔母にあたる母親の兄弟の家で暮らしており、娘の面倒を見るつもりはない。

また離婚歴があり、

20歳くらいの息子もいるが彼もまたバイト先に寝泊まりしている状態で母親の面倒をみるつもりはない。

元夫は彼女が悪化し、家族の世話ができなくなり自分の事さえもままなくなり、

ひとり息子を引き取って離婚。離婚して3,4年は経過していて、その間に元夫も少しずつ距離をおいていったのでしょう。

アパートの家賃未払いとゴミと物にあふれた不衛生な部屋、本人も重なる発作で動けなくなって…

そのままどうにかなることをわかっていたのでしょうね、

母親も息子も元夫も。冷酷で乾いた現実ですね。

どこにでもこんな事例は転がっているわけですが、ボリビアだと地域福祉も行政も助ける力がないというか、

育ってないので明るみに出やすいというか、むき出しになりやすいのだと最近は思うようになりました。

というわけで、やはり受け皿のない彼女。

CAPEDISに来て1ヵ月以上経ちますが、その間にまずは服薬の調整、

規則正しい食事や人との交わりなどで次第に回復してきています。

発作の回数も減り、元気にしていたころのリズムを思い出してきているようです。

料理をして、洗濯をして、掃除をして…元々きれい好きではなかったのかもしれません。

彼女は成人の女性なので、あれやこれや親のようにうるさく指導はしたくない。

完璧に振る舞えて、清潔に部屋を保てる人だけが世の中で生きていけるのではなくて、

おそらく周りとの関係を調節しながらみんな生きているからです。

彼女にも自分で考えて、周囲との関係を図りながら生活を整えて行ってほしいと思います。

自分の力で生きながら、家族の関係を修復していってほしい。


写真左:どこにどの花を植えようか…お花が大好きなマリア・ルースも積極的。

写真中:ホスエはお水をあげて・・・

写真右:ハート型に植えてみました。

 

【花、植えました】

日本は今秋ですが、ボリビアは春。昭子さんが畑で育てた花の苗をCAPEDISに植えました。

マルガリータやカーネーション、バラ…どこにどの花を植えるのか話し合って、

ハート形にお花を配置したりと楽しみながらの作業でした。あとは花が咲くだけ~!楽しみです。


【みんな、それぞれ元気にしてます】

3ヵ月ぶりなので、みんなのそれぞれの様子をお知らせします。

やってることは以前と変わりありません。それぞれが継続して自分の仕事をしていて、それが少し前進している。

元気でいることがうれしい。

 

上段左から・・・

ホスエ(算数の勉強)、ロサリオ(粘土遊び)、ホセ(積み木遊び)、マリア・ルース(カード挿絵の準備中)

 

下段左から・・・

ロサリア(リハビリ中、皮膚感覚刺激)、シエロ(慣れた手つきで洗濯物を干しています)

ローナル(勉強中…には見えない)

ロスメリー(ゼリー売り…売る気はあるのだろうか…)イスミーチャ(犬:ロスメリーの監督…笑)


写真左:左からロサリオ、シエロ、ホセ、ロスメリー。

写真右:手前ホスエ、奥ローナル

 

【コチャバンバの日】毎年恒例、8月ボリビア独立記念日、9月コチャバンバ県の建立記念日と行進の日。恒例化してはいるけれど、この1回ずつが大切なのだと最近は思う。『私たちはボリビアの国民だ!』『私たちはティキパヤの市民だ!』を公に宣言、主張、表明する日なのだと思う。障害者への理解が全面に出てしまうけれど、それぞれが住みやすい居場所は自分たちでつくるしかないのだと思う。国や人々が整ったり、成熟するのを待って与えられることばかりを望むのではなくて、自分たちで動き出していかないと何も変わらない。ですね。


写真左:引っ越し先のお部屋をみんなにお披露目。

    昭子さんに言われてではあれど、ひとりで片付けました。みんなは「片付いてる。いいお部屋」と感想を伝える。

写真右:緊張からニコリともしない彼女。しかし、君の闘いは君にしか出来ない!がんばれ!!

 

【ロースメリー、自立への少し手前】

自立に向けてCAPEDISであらゆる練習をしてきた彼女。9月25日は22歳の誕生日でした。

そのお祝いの席で昭子さんに「22歳の年にしたいことは?」と問われて「一人暮らし」と答えてしまった彼女。

心意気はすばらしいが、彼女の「一人暮らし」の意味合いは、いつも厳しく苦情をいう同室のマルガリータとの離別。

マルガリータの苦情のおかげで成長した部分も大きいのだが、彼女はそのありがたみをみじんも感じてはいない。

丁度のタイミングであり、せっかくの本人の申し出なのでお試し一人暮らしをしてもらうことに。

それで畑にお引越し。

そこではご飯も片づけもゼリーの販売もすべてひとりで。自分の好きなようにでき、誰もうるさいことは言わない。

だけど、自分で作らないとご飯もない。

お腹が空いて、自分のお金で食べ物を買うにはゼリーを売りにいかねばならない。

その前にお部屋代や食費のために毎日買って食べるなんてぜいたくできない。

CAPEDISでは口うるさいひとたちがたくさんいて、朝は声掛けをして起こす、

ゼリー販売の準備はひとから言われて、しかも手伝ってもらってする、部屋はいつもチェックされないと清潔に保てない。

さて、どうするロスメリー。

今までの感じから、追い込まれてこそ開花する彼女。

逆にいうと追い込まれないとしない性格なので、今まで教えられたこと、

叱られてきたことを思い出しながら少し前に進むことでしょう。

昭子さんや畑の職員のあれやこれやのサポート受けながら。1歩前へ!


写真左:ロサリオ(左)シエロ(右)。シエロは学生の携帯にすぐに反応。学生から取り上げて遊んでおります…

写真中:学生たち。みんな14歳。若いですね~!このグループはお掃除班。

写真右:このグループはおやつ準備班

 

【学生ボランティア】

3年ほど前から毎年恒例となっている学生たちの訪問。

40人くらいが一斉にやってきて、必要物資を置いて行ってくれる。

はじめは誰かの提案からはじまって生徒たちが社会を知る一環でCAPEDIS見学に来たのだろう。

でもその後により有意義に関わりたい想いが学校側にも私たちにもあって、

昨年はグループを分けてこどもたちと遊ぶグループ、環境整備つまりは剪定したり、

掃除を手伝うグループとわかれての活動に展開した。

そして今年はさらに展開して、活動内容を自分たちで考えてきていて、

こどもたちと関わるグループ、お掃除グループ、おやつ準備グループ、環境整備グループ、研究グループにわかれ、

ばらばらに来て、自分たちの関わりをしていった。

例えば、環境整備グループは各部屋の電球をチェックして不足分を購入して持ってきて、次の訪問で設置する。

遊具やスロープのペンキ塗りもしてくれた。

研究グループでははじめに施設の支援内容、歴史について話を聞き、

次の回ではこどもたちと関わって生じた質問をしてくるという流れ。

この若い人たちがCAPEDISのこどもたちや青年たちと関わって知り合える機会がもてたことに感謝。

そしてそれぞれの視点で困難さを抱える人たちへの理解を深めてもらえるといいな、と思うし、

CAPEDISの青年たちは受け身ではなく、周囲の人間が理解するためのアプローチをしてほしいと思う。